Note No.6

小説置場

2016-07-24から1日間の記事一覧

My princess name

新しい役者のマネージャーになるよう、通達があった。 それは久しぶりにうちの事務所から出るという月9のヒロインだった。無名の新人の大抜擢だというのだから、事務所の力の入れようもかなりのものだ。自分でもいうのもなんだが、老舗と言われる事務所の中…

今日の話と明日の話

役を受けることが決まってから、変わったことはいくつかある。 まず、極力外に顔を出さないこと。これは元々露出が少なかったので、あまり難しいことではない。雑誌のプチ連載は続いているが、元々大した紙面の大きさではないから問題はないようだ。 また、…

Cotton candy

最後の手段というのは、最後まで取っておくからそう言う。しかし、最後まで取っておくというのはつまり、実行するには数多くの障害があったり、心理的に抵抗があったりするためである。万が一すんなりと実行出来るのであれば、最初の手段に持ってくる。 諸事…

待つ日

あらあなた、転入生なのね。それじゃあ、ご存じないでしょう? どうしてこんなに朝早くから、こんな所にいるのか、不思議そうな顔をしていますもの。ええ、こんな所――空き教室にわたくしたちが集まっている理由、なんて想像がつきませんものね。 仕方ありま…

月の目覚め

昔から自分の顔が嫌いで仕方なかった。両親や周りの人が褒めてくれるのは嬉しかったけど、それでもやっぱり嫌だった。だって、知らない誰かに「かわいいわねぇ」なんて言われるし、ナンパされるし「お嬢さん」って言われるし、電車に乗ると痴漢にあう。(突…

願いの破片

高校時代の友人が、大学へ行かずに就職すると言い出した時は驚いた。ごく一般的な公立校だったから、生徒の8割は大学進学、2割は専門学校へ、というような学校だったのだから。だけれど、働きながら子どもを育てると言い出した時が、人生で最大に驚いた。 駅…

神の子羊

希望に満ちて、その子どもは生まれるはずだった。産声の上がる瞬間を誰もが待ち望んでいた。国王に嫁いだ東の王妃――ヴィアレッタ・オイアソート・デル・ウェリファーナ――の一族である、ヴィアレッタ公爵は娘の出産を誰より心待ちにしていた。 北の王妃がつい…