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Note No.6

小説置場

少年少女飛行倶楽部

訓練学校生のよく聞かれる質問ナンバーワンは「どうやって飛んでいるの?」だと思う。家族や友人しかり、学校へ行くことを知った近所の人から、学園都市在住の方々、店の人に至るまで。 要するに飛ばない人たち全員の疑問なのだ。まあそれもそうだろうな、と…

君のたより

それはとてもしんどいけれど、同じくらいに楽だったのです。 授業が終わって寮に帰る。出入り口の所に置いてある郵便受けを、いつもの習慣で確認すると見慣れた封筒が入っていた。薄いピンク色の封筒で、そういえばもうそんな時期か、とぼんやり思った。 食…

ひかりさす

痛ましいほどの、その背中。 嗚咽のようだと思った。声は乱れることなく、それ所か強ささえ感じるほど真っ直ぐとしていた。はっきりと耳に届いた。それなのに、嗚咽のようだった。実際それは、ほとんど悲鳴に近かったのかもしれない。 声にならなくとも。言…

プライド

シュウゴが風邪を引いたらしい。 防衛の授業が終わった後、用具を片付けていたらキミシマ先生に言われたのだ。「そういえばノノトが風邪ひいてぶっ倒れたらしい」と。 私としては「そうですか」と答えるしかない。大丈夫だろうか、とは思ったし、早くよくな…

昼下がりの風景

あの「ノノト・シュウゴ」とよく付き合えるね、としょっちゅう言われる。研究室に顔を出すだけではなく、休日も時間が合えば出かけることもあるし、いい本を見繕ってもらうこともある。試験前にはスパルタな補習をしてくれたり(頼んでないけど有難いので受…

Call, calling

たとえもう二度と、許されないとしても。 夢を見ているんだと、わかっていた。木漏れ日の中で、光のように笑う姿。まるで重力を感じさせず、空中に浮き上がる。空を一直線に横切って、飛んでいく影。風を味方にして、戯れるようにくるくると体勢を変える。誰…

Scene

入学式が終わって学校にも慣れ始めた頃。始めてのちゃんとした飛行の授業があって、自分たちが訓練生である、という自覚が薄ら芽生え始めた辺りだ。 授業が終わって開放された俺たちは、散り散りに寮へと帰った。しかし、俺は学校紹介の時にだけしか見たこと…

Give the gun!

控え室代わりに使っている森番小屋に戻り、ゴーグルを外した。切り取られていた視界が広がり、見慣れた風景が戻って来る。やはり、ゴーグルをしていると認識出来る範囲が狭いよな、と思った。「イチイちゃん、お疲れー」 積まれた藁に体重をかけて突っ立って…

「世界で一番大きな丸を」

あらすじ その国は、空中に島を戴いている。首都の真上に浮かぶ島は、信仰の対象であると同時に、国に暮らす人々の生活を支えるものでもあった。島から得られるものを糧にして、生計を立てているのである。この島は気流の関係から、生身の人間しか行くことが…