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Note No.6

小説置場

愁へば

一歳年上のこの人は天才じゃないか、と思う時がある。今までに何度かその機会はあったが、まさしくこの瞬間、ロクショウはつくづく思っている。――どうしてこの人は、こうもぽんぽん心配の種を拾ってこられるんだよ。「どうしよう、ロクくん」 いつもの通りに…

再会の宴

乾杯の音頭は、この集まりを取り仕切っている平市――トクサだった。朗らかな笑顔で手にしたグラスを掲げ、「かんぱーい」と告げる。それぞれが思い思いに、声に合わせてグラスを持ち上げた。「久しぶりっ!」嬉々とした顔でかちん、と高らかに鳴らしたのは寿…

千代に

途方もない願いだなんて、わかっちゃいるけど。 風呂上りに渡り廊下を歩いていたら、中庭の方でうごめく人影を発見。夜闇に目を凝らしてみると、自動販売機の明かりに照らされた横顔に見覚えがあった。まあ、見間違いかもしれないけど、声をかけて何かが減る…

装う

袖を通すと、しんと気持ちが落ち着くのがわかった。襟を合わせて、帯紐を締める。袴をはいて、結わいてもらえば完了だ。きつく締め上げる度に、余計なものが絞り出されていくような感覚がある。 ただまっさらに、私という存在だけが残る。飾りもなければ、期…

「Operetta!!」

あらすじ とある私立高校には連綿と続くしきたりがあった。それは、古くから伝えられてきた「物語」の登場人物を在校生から選出し、役を演じさせるというもの。一つの役を与えられた少女を軸に、同じ立場の「役者」たち、維持に奔走する生徒会や教師たち、周…