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Note No.6

小説置場

Freely and actively

短編・SS

 至って普通の顔でトランプを出しながら「そういえば」と口を開いたのはマサヒロだった。「そういえば、今度の終業式どうするよ?」という声にかぶるように、タムは「よん!」と叫びながらトランプの山に札をくわえる。
「……やっぱり時期的に肝試しとかいいんじゃねーの」
「お、ジンジャー最高のアイディア!」
 五六七、と続けて出したジンジャーの台詞に乗っかったタムは白い歯を出して笑った。こんがりと焼けた肌の中で、白い歯がまぶしい。
「……深山兄弟がいい仕事してくれそうだよねー」
 八、と言いつつ山を築いたシラハは世間話のように続けた。同じクラスの深山兄と、隣のクラスの深山弟の手先の器用さは目を見張るものがある。そこに召集をかけるなんてッと、手を取り合って脅えるフリをするマサヒロとタムは、あからさまな笑顔を貼り付けていた。
「楽しくなりそうだなあ!」
 にしし、と笑うマサヒロに、ジンジャーも笑みを浮かべる。シラハは興味のないフリをしているけれど、誰より乗り気だということは知っているし、タムはすでに全開でやる気だった。次々と捨てられていくトランプの札を前にしながら、四人は今後の計画に思いを馳せる。
「たぶん出席は全員だろ?」
 ジンジャーがいえば、「もちろん」「とーぜん!」と返ってくる。祭り好きのクラメイトが断るわけはないとわかっているのだ。シラハは淡々と、「景品とかいる?」と問いを重ねる。
「ああ、景品か。あると燃えるかもな」
「だよねー。じゃあ俺あれがいい。DELLの新作。今回は何とこっちの世界とつながる設定らしいよ」
 すっげえ楽しみー、と言うタムへ向かって、マサヒロも同意する。しかし、ジンジャーは渋い顔をしている。
「それってゲームしねえやつにはどうでもいいだろ。女子とかいらねえってやつ多いと思うぜ」
 あ、そうかーとマサヒロはうなずきながら札を捨てた。ゲーム好きには大ニュースだった五年ぶりの新作も興味がなければ意味はない。それじゃあどうしよう、と思いながらタムがトランプを捨てる。
「ダウト!」
 瞬間、シラハが声をあげる。勝ち誇ったような顔をしていて、タムは無表情にトランプに手を伸ばした。それからひっくり返すと、ばれたか、と舌を出す。