Note No.6

小説置場

透き通る

 呼吸をすると、肺が空気で満たされていく。辺りを漂う光の粒子を取り込んで、少しずつ体の中に留まっていくみたいだ。きらきら、きらきら。息をするたび、僕の体の底が光を持ち始める。
 君はきっと不思議そうな顔をするけど、僕にとっては至極当たり前のことなんだ。だってここには君がいる。それだけで、空気までもが輝いてしまうじゃないか!
 だからね、と僕は告げる。きらきら、目もくらむほどの光の渦の中で。目を見張るほどの清らかさと、はっとするくらいの美しさを前にして。予言者めいた微笑を乗せて僕は君に告げるのだ。
 いつかいつか、遠い未来の明日の先で、僕の心は透き通ってしまうのさ!
 君の光を吸い込み続けたこの体は、いずれ光そのものになるだろう。そうしてきっと、僕の心は透き通って、君にまで届くだろう。
 一つの壁も障害もなく。欠片の隔たりも微塵の距離も存在せず。光になったその時こそ、僕の心はやっと君まで届くだろう。
 だからそれまで待っていてね。余計なものがなくなるまで、邪魔なものが見えなくなるまで。光となって君の元へ行く時まで、どうかそれまで待っていてね。


11.5.3 Tue