Note No.6

小説置場

2016-11-23から1日間の記事一覧

ミルクティーとコーヒー

「僕らはどうして出会ったんだろうね?」 首をかしげてお前はつぶやいた。色素の薄い髪がさらり、と頬にかかった。 こんな風に、と俺と自分を指すとはにかんで笑う。俺も曖昧な笑みを返した。お前はその顔を維持したままで目の前のカップに口をつける。「君…

endless sleeping

前から思ってたことがあるんだけど、と藤倉がやたら真剣な顔をして言うので、皆野は襟を正すような気分で見返した。演劇部のミーティングとして図書室に集まり、先輩からのお話を拝聴している真っ最中だ。一体、どんな重大な発言が飛び出るのか、とそれを待…

暗闇に生まれた

「明日は光で希望だなんて、どうして思えるのかしら」 ぽとり、と落とされた言葉がじわじわと広がっていく。蝶子は息を殺して、目の前にいるであろう人間の気配を探る。 衣擦れの音がして、同時に甘い匂いがふわり、と舞った。匂い袋でも持っているのか、そ…

重力なんて吹っ切れると思ってた

何だって出来るような気がしちゃったんだよね、と道村が言った。横顔は、川面や橋の手すりを染めているのと同じ、夕焼け色だ。朱色よりもピンクがかっていて、何だか照れているようにも見える。俺はそれに気づかなかったふりをして、手すりの赤錆を見ながら…

それでも飛ぼうとしてるんだ

目の前の椅子に座った途端、ネクタイをゆるめながら入江が前に倒れ伏した。野瀬は自分の食事がのったトレーをさっさと避難させる。それから、何事もなかったかのようにランチのAセットへ箸を伸ばす。メインディッシュの焼肉をしっかり味わわなければ。「……野…

まずは納得させてください

死にたい、だなんて君が言うから僕は必死で懇願した。「駄目。止めて。死なないでもうほんっとお願いします」 手のひらを打ち、拝んだ。君はそっと唇を開くとどうして? と尋ねる。僕は姿勢をそのままにして、ちらりと君を見る。肩にかかりそうな髪は校則通…

ワールドワールド

だからね、地球っていうのは地殻・マントル・核の3部分から成り立ってるわけ。え、信じられない? しかたないなぁ。じゃあ、ほらコレ見てみなさい。『広辞苑』の地球の所。これなら信じるでしょ。うん、そう。潔く認めなさい。俺はスゴイと。 あ、ごめん、…